あるメンタルヘルスの勉強会に参加したら、「ウツで長期休業したあと復職した社員の処遇に困っている」という質問が挙がりました。他の社員と同じ仕事や同じ勤務はできないのに、権利意識や主張だけは強いらしく、医師の参加者が多い会でしたが、参加者同士がああでもない、こうでもない、と意見を述べ合っているところに、遅れてやってきた、ある大企業の産業医が「いったい、今って、何を論じているの?」

 

そしてその産業医は質問内容やほかの人の意見などを軽く確認したあとに、「そんなの簡単ですよ、どうしても他の人と同じことができないというなら、最悪、詰め腹を切らせて契約社員に落とすしかないんじゃないですか?」と、ひとこと。この一刀両断の意見に、私は心の中で拍手を送りたい気持ちでした。企業はメンタルヘルスに対して、医療側の見地ばかりでなく、そういう助言が欲しいんです。冷たいようですが、企業の懸案は患者さんの体調などではなく、その人を今後、どういった待遇で扱って行ったらよいか?に尽きると思います。さすが、大会社で山のような症例を一杯見てきた(医師と言えどもその会社に所属しているので)企業人は違うわ。

 

彼曰く、復職者にはこちら側が望んでいることを伝えて(もちろんそこには一定の配慮が含まれる)、なんとかそこまでは頑張ってもらうよう十分な話し合いを行い、もしそれができない場合は、契約社員への降格もあり得るということを、ルールに沿うような話し方で明確に提示すべき、というんですね。復職者には冷たいかもしれませんが、メンタル不全者が膨大に増えている昨今、どこかで明確な線引きをしておかないと、会社は持たないでしょう?って言うんですよね。いいなぁ、この先生、企業の現実をメチャメチャよくわかっているよ。

 

実はこの会を紹介してくれたのは、知り合いの精神科医なのですが、彼もまた「メンタルヘルスは人事」と言ってはばからない人です。やはり産業医(嘱託)として、多くの大企業に関わっている人で、企業側の人達と長年やりとりしてきたことを通して、雇用側の現実と苦悩を目の当たりに見てきた人です。なので、「企業のメンタルヘルスは最終的にその人をどう処遇するか?ってことでしょう?ここから先は医療の手を離れていくんです。」とよく言っています。

 

先にPCを使えない60代の看護師さんの話を書きましたが、医療の現場と民間企業の現実には大きな開きがあることを痛感します。業務形態も、もちろんそうですが、ドクターや看護師という人達は、関係者同士や患者さんとしか接していないので、雇用側の切実な悩みや課題にあまり理解がありません。知人の精神科医によると、産業医というのは内科医や外科医が食卓を受けていることも多く、その場合は精神分野にあまり詳しくないし、またメンタルヘルスは内科や外科の患者さんのように、他人から見てわかりやすい疾病ではないので、企業は皆、扱いに困っている、少なくとも産業医はもう少し、企業の現実を理解し、そこに踏み込んだ取り組みが必要、という彼の意見には、非常に賛同する私です。

 

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